2008年10月9日(木)

朝起きてから、お湯を沸かして、紅茶を煎れる。
お湯を沸かしている間に手早く部屋で干している洗濯物を外に出す。
紅茶を飲みながらクロワッサンを食べて、軽く新聞に目を通してから病院に向かう。
今日は子供と奥さんが退院する日だ。

準備はほとんど昨日やり終えていたので、
今日はただ、荷物を車に積み込んで、病院に行けばいい。
昨日、残業で家に帰ってくるのが遅かったのと、
洗濯と準備に意外と手間取ったので、寝るのが遅くなり、少し眠い。
どうも、若干疲れがたまっているようで、頭が少し重い。
でも、空がきれいに晴れていたので、気分は悪くなかった。

病院でいくつかの手続きをして、子供を抱いて外に出た。
退院だからといって、別に特別な日だとは思っていなかったんだけど、
子供が、産まれて初めて外に出るんだと考えたら、
突然特別な感情が産まれて来た。
外の景色がちょっと違う風に見えた。
奥さんは、久しぶりに外に出た、と隣で感動している。
「キンモクセイの香りがしているね。」
奥さんに言われるまで全く気がついていなかったんだけど、
確かに街にキンモクセイの甘くてよい香りがしていた。
僕の子供は、僕と同じ秋に産まれたんだなぁと思った。

さて、子供を抱いて見た、外の風景はどんな感じだったかと言うと、
ニューヨークや、ロサンゼルスの下町にいるような感じだった(笑)。
(あ、もちろんニューヨークには行った事がないけど・・・)
子供は、小さくて、弱く、ガラスの様に脆い、
消えかけの蝋燭の炎のような気がして、
走ってくる車や、自転車さえもが、危険なもののように感じた。
周りを見回して、慎重に一歩一歩を歩いて行かないと、
ちょっと油断した隙に、何かがぶつかって来て、
僕の手の中にある大切な宝石を、粉々に砕いてしまうんではないかと、
そんな被害妄想に近いような気持ちがした。
そんな気持ちは、車に乗り、子供を無事、チャイルドシートに乗せて、
車を発進させたあとにも、続いていた。
後ろの車が追突して来るんじゃないかって・・・
異様にゆっくりと、制限速度よりさらに遅いスピードで、
車を走らせてしまった。
めちゃくちゃチキン野郎っす(笑)。
車の中で奥さんは、子供を無事産んで、退院できた事に感動して、泣いていた。
僕は車を運転しながら、深呼吸をする。
子供は気持ちが良さそうに目を閉じていた。
きれいなギターの音色が、静かに車の中を流れていた。

ちなみに車の中で流れていたBGMは、
一応子供が初めて聴く音楽なので、
せっかくだから良いものが良いな、と思い、
結果的に内田勘太郎の“チャキ・シングス”にしました。
ちなみにこのマニアックなアルバムは、本当に良いCDで、
非常にお勧めです。

素敵な音楽に身を委ねながら奥さんの実家に着き、
ちょっとオロオロする。
そして、初めて授乳に立ち会う。
・・・・こんなに大変な事だったんだと思う。
そして、その後、今日は2回、哺乳瓶にミルクを作り、
僕の手で飲ませた。
なんか幸せを感じた。

昼食を食べ、外に買い物に出かけたついでに家に寄り、
洗濯物を入れた。
そこで、あまりにも疲れていたので、ちょっと目をつぶったら、
20分ほど眠ってしまった。
やっぱり相当に疲れてるんだなぁと。

奥さんの実家に戻り、夕飯を食べ、甥っ子と遊んで、
初めて、子供と、奥さんと3人で、部屋でゆっくりした。
あまり長い時間ではなかったけど、
なんかとても優しくて、暖かい時間だった。
奥さんは、結構、入院生活に参ってしまっていたようだったけど、
話をして行くうちに、結構笑いも起こった。
子供がミルクを飲みながら眠ってしまったので、
僕は大爆笑してしまった。
あと、僕の病院での大失敗の話をしたら、
奥さんも、泣きながら笑っていた。
静かな日々の階段を、昇っているような気分だった。

家に帰って来て、一人、パソコンに向かっています。
なるべくリラックスするようにしてはいるんだけど、
そうはいってもやっぱり奥さんの実家にいて、
気も使っていたようで、
家に帰って来たら、どっと疲れが来た。
寂しさとか、疲れとか、寝不足とか。

独身時代とは全然違う気持ちも沢山味わうけど、
独身時代と同じような気持ちは、結婚してからも感じたりするもんだな、
やっぱり。と、思ってます。


奥さんのiTunesを聞いていたら、
たまたま椎名林檎の“翳りゆく部屋”が流れて来て、
思わず、沁みてしまいました。

人生は素晴らしいものだと思う。



  


2008年10月09日 Posted by リッキー at 23:31Comments(2)日記