2008年10月25日(土)

信じられない話なんだけれど、
今日で32歳になった。

1年生きれば、必ず1つずつ年をとっていくのだし、
それが32回繰り返されただけの事なのだから、
別に何も不思議な事も無いんだけれども、
それでも、自分が32歳になったという事は、
とても不思議な感じがする。

30歳になった時には、それでも不思議な感慨があった。
30歳の夏に作った芝居には、
自分では全然意識していなかったんだけれども、
「俺たち、もう30代なんだし・・・」という台詞が何度も登場していて、
意識的にも無意識的にも、20代が終わり、
そして、30代になるんだという意識をとても強く感じていたんだと思う。
その翌年、つまり31歳の時に作った芝居で、
僕は初めて家族と言うもの、
子供と親というものに焦点を当てた芝居を作った。
そしてその時に、家族というものを自分が築いて行く必要性を強く感じた。
そして32歳になった時に、
僕には子供と妻がいて、
僕には新しい家族が増えている。

今夜は、奥さんと子供が、奥さんの実家から帰って来て家にいる。
そして、僕の両親が孫に会いに泊まりに来ている。
結婚を決めてから、僕は今まで全然意識してこなかった
親戚や家族の大切さを改めて実感して、
突然家族を大切にするようになった。
父や母や、弟や、奥さんの家族や、両方の親戚を。
今夜は父と酒を飲み、色々な話をした。
自分が父親になって初めて父親と飲んだんだけれども、
今までと全然違うような気がした。
今までも、父親に対する敬意は払って来たつもりではいるんだけど、
それでも改めて自分を育ててくれた父親の偉大さを感じているような気がする。

両親が眠って、今一人でパソコンに向かっています。
時々息子がぐずったような声の寝言のような音を発するので
その度に様子を見に行っています。
さっき息子の寝顔をゆっくり見ていたら、
なんだか泣きそうな気分になってきました。
この子はどんな事があっても守って行こうと思います。
でも、結構何をやっても中途半端だった自分が、
今こうして父親になれた事が、
とてつもなく嬉しい事だと思っています。
そして、こうやって父親になれた事で、
今までの自分の全ての苦しみが
報われたような気がするのです。

いつもよりも過剰にセンチメンタルな日記になってしまっているように感じますが、
それは、いつもよりも少し飲み過ぎているからだと思います。
最近はあまり酒を飲んでいませんし(笑)
孫の相手をする父や母の嬉しそうな顔を、
とても嬉しく感じます。

信じられないんですが、僕は今日32歳になりました。
このまま順調に、子供と奥さんと、
父や母と一緒に、年を重ねて行きたいと、
心から思っています。  


2008年10月25日 Posted by リッキー at 23:37Comments(0)日記

激しい雨が降る。

午前6時。
窓の外には激しい雨が降っている。
産まれて1ヶ月の赤ん坊がゆりかごに揺られながら、
窓の外の景色を見つめている。
その赤ん坊は、30年後に世界を動かす人間になる。
彼は窓の外がやけに歪んで見える事に気がついているのかもしれない。
ただ黙って外の景色を眺めている。
窓の外には激しい雨が降っている。

午前6時。
少年は今日もコーヒー農園で働いている。
青すぎるくらいの青い空一杯に、
白い霧のような農薬が散布される瞬間が、彼は大好きだった。
体はひどく疲れているに、
その瞬間、白い霧の中に、とてもきれいな虹が見える。
それを見ていると、息苦しい感覚を忘れて、
自分が生きている事を実感できる。
少年は今日もコーヒー農園で働いている。

午前6時。
青年はようやく眠りについた。
両親を殺し、自由を奪う力との戦闘の毎日のせいで、
彼はほとんど眠る事が出来なくなっていた。
彼の両親は10年前、友人の結婚式を祝っている最中に、
飛んで来たミサイルに花嫁と花婿と共に吹き飛ばされた。
そんな戦闘の毎日の中で、唯一眠りにつく瞬間だけは、
安らいだ気持ちになる事ができる。
青年はようやく眠りについた。

午前6時。
男は朝焼けの空を見つめている。
医者になって10年。
自分が一生に救える命の数の少なさに涙を流している。
彼の母親は彼を産むのと同時に命を失っていた。
だから彼は、医者になり、全ての人の命を救いたいと考えていた。
少なすぎる仲間の数と、悪すぎる環境の中で、
もがきながらも、精一杯医療活動を続けていくことしかできない。
男は朝焼けの空を見つめている。

午前6時。
老人は朝のコーヒーを飲んでいる。
彼は、もう何十年もの間、同じ時間に同じ場所でコーヒーを飲み、
議会に向かう事にしている。
全ての国民の代表として、彼は働いている。
沢山の金と命としがらみと金に縛られながらも、
彼は法を作り、予算をたてる。
命としがらみと金の優先順位に苦悩しながら、
老人は朝のコーヒーを飲んでいる。


午前6時。
窓の外には激しい雨が降っている。
産まれて1ヶ月の赤ん坊がゆりかごに揺られながら、
窓の外の景色を見つめている。
その赤ん坊は、30年後に世界を動かす人間になる。
彼は窓の外がやけに歪んで見える事に気がついているのかもしれない。
ただ黙って外の景色を眺めている。
窓の外には激しい雨が降っている。

午前6時。
窓の外には激しい雨が降っている。



  


2008年10月25日 Posted by リッキー at 00:18Comments(0)超短編小説